眠り姫に恋したのは年下御曹司
駆け寄る女性が叫んでいる。



「陽平、ごめん!」



陽平に担がれた私の目の前に立った女性が私の前に立った。


その女性と目が合う。



「ごめんなさい。」



頭を深く下げる女性を見つめる。



「ごめんなさい。私が無理にお願いしたの。」



頭を上げた女性が私を見たが、陽平が振り返り、今度は池田さんと山中と目が合う。


未だに担がれたままの私は我に返って、陽平の背中をドンドンと叩いた。



「ちょっと下ろして。」


「莉乃が逃げるからだろ。」


「逃げたんじゃない。帰ろうとしただけ。それに陽平とは…………。」


「言ったら監禁する。」



陽平の言葉にピタリと言葉も動きも止まる。


監禁するって聞こえたような。


まさか。



「悪い、俺は帰る。大事な彼女の誕生日もあるし。」



陽平の言葉に池田さんと目が合う。


誕生日?



「来週の月曜が誕生日だろ。」


「…………。」


「サプライズにならなかったな、莉乃。」
< 106 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop