眠り姫に恋したのは年下御曹司

バーの入り口で両手を広げる池田さんに抱き付こうとしたが…………。


隣に立っていた山中が足を踏み出して近づいてくる。


不思議に思ったが、バーの入り口に向かって進む。



「莉乃！」

「片桐さん！」



陽平と山中の声が重なる。


近くで聞こえた声にビクリとした。


突然、宙に浮いた体に驚きで固まった。



「えっ？」



変な声が吐き出されていた。



「双葉さん、離してください。」


「莉乃、話がある。」



山中の言葉を無視して怒った声を吐き出した陽平が私を肩に担ぎ上げた。


驚きで固まったままの私の視界には唖然とする合コンのメンバーが目に映っていた。


何が起きてる？



「ちょっと片桐さんを…………。」


「俺の女を連れてくだけだ。これは俺と莉乃の問題だ。」


「片桐さんは『別れた』んだから、アナタの女ではないでしょ。」


「別れた？勝手に決めんな！」



バーに陽平の声が響き渡った。


静まり返るバーに私達に駆け寄る女性が目に飛び込んでくる。