眠り姫に恋したのは年下御曹司
ちらりと視線を感じたが無視しておいた。


席を立つ池田さんと山中が資料室へ消えていくのが目の端に映る。



「ふ〜ん、見た目とは違うんだ。」



独り言が漏れた。


池田さんは肉食女子に見えていた。反対に、山中は草食っぽいイメージだった。


だけど案外イメージとは反対なのかもしれない。


喰われているのは池田さんかもしれない。



「ふふっ。」



変な笑いが漏れてしまい、慌てて口をぎゅっと結んだ。



「片桐、浮かれすぎだ。」


「…………すみません。」



やっぱり聞こえたらしい。


佐東さんのツッコミに小さくなる。


なぜなら佐東さんは私の休暇の理由を知っているからだ。



『佐東さんに許可を貰っているから。』


『はっ?』


『莉乃の休暇。上司の佐東さんに許可を取ってあるって事。』


『…………。』


『誕生日休暇の申請をしておいたから大丈夫。』



誕生日休暇?


そんな制度はない。
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