眠り姫に恋したのは年下御曹司
陽平から聞かされた言葉が蘇っていた。


佐東さんは私と陽平の関係に絶対気付いただろう。


気付かない方が変だ。



「片桐、フタバ食品とのプロジェクトは頼んだ。」


「…………はい。」



意味深な言葉に確信した。


なんか会社の人に陽平との関係がバレていく。


今は陽平とも上手くいってるし問題はないけど、付き合わなくなったら…………。



『結婚したい。』



陽平の言葉を思い出した。


頬が熱くなるのが自分でも分かる。


なんかプロポーズされたみたいで口元が勝手に緩んでしまう。


大きく深呼吸をして落ち着かせる。


誕生日の旅行に頭が支配されていて仕事が進まない。



「片桐さん。」


「ん?」


「お昼は一緒に行って。」


「あっ、ああ、うん。」



隣の席には知らん顔の山中が座って仕事を始めている。


背後に立つ池田さんが何か言いたげのようだ。


想像はつく。


山中に責められたか?
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