眠り姫に恋したのは年下御曹司
大樹と陽平がお互いの視線を逸らすことなく、じっと様子を伺うように見つめ合っている。


私は無言で2人を交互に見ていた。



「双葉さんは莉乃を幸せに出来るの?」


「ちょっと大樹。」


「莉乃は『今は幸せだ』って言ってた。それって…………まだチャンスはあるって事?」


「ちょっと大樹。」



いくら大樹に呼び掛けても無視される。


陽平も大樹の話を微動だにせず、じっと大樹だけを見つめて聞いている。


少しの沈黙が続いた。


そこへランチが運ばれてきた。



「陽平、冷めないうちに…………。」

「また莉乃に再会する機会があればいいけど?」


「上京する機会なんて、この先もあると思うけど。」



私の言葉を遮った陽平に大樹も反論する。


すっかり私なんて蚊帳の外だ。



「俺、子供とか欲しいから。」


「…………。」


「結婚したら作るよ。」



陽平の発言に私と大樹は固まった。


突然何を言い出すのかと思いきや、子供の話を始め出した。
< 188 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop