眠り姫に恋したのは年下御曹司
今日は陽平と会えないだろうと思い、お風呂に入り、すでに寝る用意も済ませていた。


夜中になろうとしていた。



『莉乃、起きてる?』


『うん、起きてるよ』


『顔だけみたい』


『無理しなくていいよ』



私の最後のメッセージは既読にならなかった。


多分、駅から私の家に向かっているのだろう。


一つに纏めた髪を下ろして、手櫛で軽く整えていればインターフォンの音が聞こえてきた。


もう到着したのか?


早くない?


一応、玄関で声を掛けてみる。



「はい。」


「莉乃、開けて。」



やっぱり陽平だ。


玄関なドアを開ければ、外の空気が流れ込んできた。


凄く寒い。


玄関に踏み入れた瞬間、陽平が私をぎゅっと抱きしめてきた。


冷たいコートが私を包んだ。



「陽平、冷たい。」


「あっ、ごめん。」



すぐに離れた陽平と目が合い、触れるキスが落ちてきた。
< 70 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop