眠り姫に恋したのは年下御曹司
私の忙しさは落ち着いている。


逆に陽平が忙しい日々が続いている。


会えない日が続く。


当たり前になっていた通勤電車でも隣に陽平の姿はない。



『濱谷町、濱谷町。』



いつものようにアナウンスが流れる。


私はいつものように眠りから覚めていく。


疲れがピークでもなんでもないのに居眠りは止められない。



「ふふっ、やっぱり寝ちゃうね。」



つい独り言が口から吐き出されてしまっていた。


でも答えてくれる人はいない。


３ヶ月前の自分に戻ったみたいだ。


朝のラッシュの流れに乗り会社へ出社する。


見渡しても陽平の姿はない。



『ごめん、暫く実家から通勤する』



そんなメッセージが送られてきていた。


私達の関係なんて脆いものだ。


電車で一緒になれない私達は会える場所なんてないのだ。


私と陽平を繋げていた通勤電車が唯一の繋がりだったように思える。


それでも私は毎日同じ通勤電車で出社する。
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