葵くん、そんなにドキドキさせないで。
三河と華子ちゃんの話し声に気を取られてさぁ、うっかり忘れてた。
「打ち上げ終わったら夜は空いてるからさ。いつでも俺んとこ来て?」
《うん!そのつもり》
嬉しそうな声。
単純だなぁ、って思う。
電話を切って、そっと華子ちゃんがいる方を見てみた。
……まだいるし。
グラス持ったまま放心状態?
『まさか好きになっちゃった?』
『え!?』
真っ赤になっちゃって、わかりやすかったなぁ、あの時の華子ちゃんは。
でもさぁ、無駄だと思わない?
だって、どうせ女避けのための道具だとしか思われてないよ?
「葵くんって、実は性格悪いみたいだよ」
「え?うっそだ〜。どこ情報よ、それ」