葵くん、そんなにドキドキさせないで。
紙パックのジュースを飲む陽菜ちゃんに苦笑いをこぼす。
「あ、三河とここで待ち合わせだよね?」
「うん。購買付いてきてくれてありがとう!」
いつもは葵くんと教室から一緒に行くけど、
今日は後輩の女の子に昼休み呼び出されてたから。
『屋上の階段のところで待ってて』って言われたんだ。
「三河に変なことされたら私に言うんだよ?約束だからね!」
「お、大げさだよ……!」
またね、と手を振った陽菜ちゃんと別れてから、ため息をついた。
購買の袋がガサッと揺れる。
『大野にキスされたこと、忘れなよ』
『……じゃないと俺がどうにかなりそう』