葵くん、そんなにドキドキさせないで。



暇さえあれば田中さんのこと考えるのやめろよ。

気持ち悪いって。



チャイムが鳴って授業が終わる。


窓の外を見ると、雨が降りそうな天気で。



気分は憂鬱だし、




「葵くん、今日一緒に帰ろうよ!」




前みたいに女子たちが周りに集まってくるし。


……まぁ、しょうがないんだけどさ。





「華子ちゃん、このあと暇?」





田中さんと目が合わなくなったのも、

しょうがないことだって、分かってるけど。





「ごめんね、今日は用事があるんだ」





残念そうな表情の女子たちを横目に、田中さんを見た。





『……昨日、華子ちゃんに言ったこと、告白ってことにしておいて』


『いきなり抱きしめちゃってごめんね』





カレンダーの月も変わって、12月になった。

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