リボンと王子様
「……母さん、穂花に構いすぎだろ……」

「穂花さんが素直に反応してくれるからよ。
お兄ちゃんと私はひねくれてるから」

「……おまえ、その言い方はないだろ」


二人がそんな冷静な会話をしている間に、有子おばさまは手際よく店員さんを呼んで注文をした。


注文したパンケーキを待っている間。


「ねぇ、二人はいつからそんなに仲良くなったの?」


有子おばさまが何気無く尋ねた。

その一言に、誤魔化しきれなさを感じて。

ギュッと私が唇を噛み締めて、口を開きかけた時。


「最近、穂花と付き合いだしたんだ」


千歳さんが凛とした声でハッキリと言った。

弾かれたように千歳さんを見る。

千歳さんはテーブルの上に置いた私の手を、あやすようにポンポンと軽く叩いた。


『大丈夫だから』


小さな、小さな、私にしか聞こえないような声で千歳さんは囁く。

蘭ちゃんは何も言わずに、ただ静観していた。

有子おばさまは瞬きを繰り返して。


「まあ、まあっ!
あら、そうなの?
嬉しいわ!
もうっ、それならもっと早くに教えてくれたらいいのに。
相変わらず、千歳は秘密主義ね」

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