リボンと王子様
その後。

公恵叔母さんに打診された話を、瑞希くんに切り出されて驚いた。


「……母さんには前々から相談されていたしな。
まあ、俺が他社にいるせいもあるだろうし、穂花には迷惑かけてしまうことになるけど……」

悪いな、と申し訳なさそうに話す瑞希くんに首を横に振る。


瑞希くんは、瑞希くん自身が近い将来背負う重責を真摯に受け止めている。

その、前に進む姿勢は私の憧れでもある。


樹くんも普段はそんな様子は微塵も感じさせないくらいに明るく、不特定多数のガールフレンドがいるらしいけれど。

一方で、特進クラスに進んで学業に真面目に励んでいる。

そんな二人を長い時間傍で見てきた私は、二人をずっとこんな風に応援していきたいと思っていた。




……彼との出会いがそんな私の気持ちを変えることになるとは全く思わずに。
< 29 / 248 >

この作品をシェア

pagetop