リボンと王子様
私の名前は葛城穂花。

二十歳になったばかりの大学生だ。

仕事が忙しい両親と十七歳の妹が一人の四人家族。

市内にあるマンションで、家族仲良く暮らしている。



両親は小さな建築設計事務所を営んでいる。

普段の私は講義を受講しつつ、大学近くのコーヒーショップで、化粧っ気もなくアルバイトをしている毎日。




そんな私の穏やかな日常に、いつも彩り……もとい変化をもたらしてくれる人が母の妹、公恵叔母さんだ。

公恵叔母さんは自立心も好奇心も旺盛で、とても活動的。

何処かおっとりとしていて、今、在るものを守っていくことが得意な母とは正反対で、自身で道を切り拓いていくタイプ。

そして日本でも有数の大企業、須崎株式会社の社長夫人でもある。




須崎株式会社は主に化粧品類等を開発、製造、販売している。

百貨店から大手ドラッグストアー、様々な場所で須崎株式会社の商品は販売されている。


特に公恵叔母さんが主となって開発した『フェアリー』というブランドは二十代から三十代の女性に絶大なる人気を誇る。

各シーズンに発表される新作は口紅、アイシャドウ、チーク等のアイテムが予約販売だけで完売になることも珍しくない。


街を歩けば、須崎株式会社の商品広告が否応なしに目に入る。

化粧品に興味がある女性なら一度は須崎株式会社の商品を手に取ったことがある、と言っても過言ではないくらいの知名度を誇る。




若かりし頃の公恵叔母さんは須崎株式会社の御曹司だった叔父さんと熱烈な恋に落ち、結婚した。

現在は叔父さんが社長を務め、叔母さんは秘書のような補佐を務めている。



叔母さんには二人の息子がいる。

長男の瑞希くんは私の四歳年上で、将来は須崎株式会社を引っ張っていく人だ。

大学卒業と同時に須崎株式会社に入社すると誰もが思っていたのだけれど。

瑞希くんは自身の修行の為、同じくこの業界では大手の橘株式会社に一般の就職試験を受けて就職した。

叔父様が懇意にしている方が経営者だということで、素性を伏せてもらって業務に従事しているという。

幼い頃から頭脳明晰だった瑞希くんは、まだ若手ながらメキメキ頭角をあらわしているらしい。



次男の樹くんは高校二年生。

私の妹の舞花と同級生で同じ高校に通っている。

人懐っこくていつも元気な樹くんも瑞希くんに負けず劣らずの秀才だと周囲では専らの噂だ。

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