好きです、センパイッ!!
力強い演奏とは対照的などこか悲しそうな歌声。
「私、バンドとかあんまり聴かないんですけど」
ラブソングとか、アップテンポな明るい曲ばっかり聴いていたけど。
「この曲、好きです」
「そう?」
少し嬉しそうな顔をする先輩。
「先輩が好きな曲だから、好きです」
「ふ、理由がそれ?」
「私にとっては十分な理由ですよ」
先輩にバンドの名前を聞くと、教えてくれた。
その名前をスマホのメモ帳に保存する。
「お前って、やっぱ変」
「なっ、またそんなこと言う……」
ムッとして言い返そうと顔を上げたのに何も言えなくなってしまったのは、先輩のせいだ。