宮花物語
その日の夜。

信志は、黄杏の部屋に、寝床を用意された。

「なんだか、照れ臭いな。」

半分恥ずかしそうに布団に入る信志を、黄杏は横で微笑ましく思っていた。

「傷は、痛みますか?」

「いや。そんなに痛まないよ。お酒を飲んで、酔っているせいかな。」

安心した黄杏は、髪をとかした後、布団に入った。

そんな黄杏を、信志はすかさず、抱き寄せる。

「ああ、久しぶりに、黄杏の匂いを嗅ぐ。」

「そんな、対して良い香りなど、しませんよ。」

「いいや。甘くて、良い香りだ。落ち着く。」

すると信志は、ゆっくりと起き上がり、黄杏の上に覆い被さった。


「再び君を、この手に抱けるなんて……まるで、夢を見ているようだ。」

「夢なんかじゃ……ありません……」

黄杏は、信志の首元に腕を回し、信志は黄杏の背中に、腕をまわした。

「黄杏……愛してる……」

「私もです……信志様……」


二人の甘い声は、一晩中、部屋の中に響いた。
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