キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。



リハビリを始めて二週間が経った。
今日もリハビリを終え、看護師さんに車椅子を押してもらって廊下を進んでいたとき、病院の中庭で人集りができていることに気がついた。
誰かを囲むように、人が集まっている。いったい何事だろう?



「ゆりちゃんも行ってみる?」



私の目線に気づいてくれた看護師さんに頷いてみせると、方向転換した車椅子が外へ出た。
芝生の上は車輪が地面にめり込むのか、ガタガタと不安定だ。



「実はね、ゆりちゃんと同じ年の男の子がね、ボランティアでマジックショーをしてくれてるの」

「マジックショー?」

「そう。プロの手品師を目指してるんだって。すごいよねー」



目線は真っ直ぐのまま、看護師さんの話を聞いた。私、生でマジックショーを見るのは、初めてだ。ドキドキする。


入院している子供たちからお年寄りまで、たくさんの人に囲まれている男の子が見えた。
車椅子に乗った私に気づいたみんなが、私にも手品が見えるようにスペースを作ってくれる。


お礼を言い、前を向くと、男の子と目が合った。優しそうな垂れた目をした、男の子。にっこり、微笑まれる。


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