キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


広げられているトランプの中に引いたカードを戻した。
それを彼が慣れた手つきでシャッフルし、ひとつの束にまとめた。



「ワン、ツー、スリー」



人差し指で三回、トランプを触れるように叩いて、指を鳴らした。



「一番上のカードをめくってみて」

「嘘でしょ……?」

「いいから早く」



ワクワクしたような隼人くんの表情。まるで尻尾を振る犬みたいだ。
私はゆっくりとカードを人差し指と親指でめくった。


現れたクローバーのキングに驚いた。



「すごい……!」

「へへへ」

「どうやったの⁉︎ 全然わからなかった」



きっと仕掛けがあるのだろうけれど、私にはどうやったのかわからなかった。怪しい行動もなかったし。


ただ、指先の動きが至極滑らかで、洗練されているのが伝わった。披露されたマジックにこの表現が正しいのかわからないが、ひたすらに美しかった。


気分が高まる。心からの、感動。



「……よかった」

「へ?」

「ゆりが、笑ってくれて」



いきなりのことで、きょとんとしてしまった。
そして恥ずかしくなって、俯いた。



「なんで隠すの?」

「だって……っ」

「もっと見せて。ゆりが笑うなら、僕ができる手品すべて見せてあげるよ」

「どうして、そんなによくしてくれるの……?」



まだ出会ったばかりなのに、どうしてそんなに嬉しいことばかり言ってくれるの?


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