キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


死んで、もう終わりにしたい。
生まれ変わって、いじめられない人生を送りたい。


いじめさえなければ、私にも将来への憧れはあった。友だちと思い出をつくったり、恋をして、結婚して、子どもを産んで……って。


やりたいことは、なにひとつ今の私では叶えられなかった。


体重をふっと前に傾ければ、私はこの世界からいなくなる。それを今更引き止めるかのように、いろんな感情が心の中を入り乱れる。これまで散々考えてきたことなのに。


最大の躊躇は、両親への申し訳なさだ。それからどうしてこうなってしまったのかという過去への悔やみ。私にもあった未来への憧れ。これから先、今の辛い状況を打破するような出来事は起こらないかなと考えて、それらに後ろ髪を掴まれる。


けれどそのどれもを阻んできたのは、他人からの悪意だった。すべて、粉々にされた。生きていても、毎日学校に行っても、なにも変わらない。いじめは、終わらない。


私にはもう心もない。未来もない。なにも、起きやしない。

もう私に残されたものは、傷以外なにもないのだ。



「…………」



座っていた鉄格子の上に立った。風が強く吹く。
私は目を開けたまま躊躇することなく、前方にゆっくり、体重を預けていった。


飛んだ瞬間、私は自由になったのだと確信した。これでもうあの人たちにいじめられることはないだろう。


きっと心の中にあるいろんなものは、死んでしまえば跡形もなくなくなる。


地面にたどり着いた瞬間の痛みを理解する間も無く、私は意識を手放した。



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