キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


きっと、そんなもの。誰も常に命について考えて生きてはいない。だから、簡単に人の命はなくなっていくし、簡単に人を傷つけることができる。


人の嫌がることはしてはいけない。命は大切にしなきゃいけない。自殺はしてはいけない。


みんな知っていることなのに、現実からはそういったことはなくならない。


どうしたら毎日楽しいって思えるのか、もうよく、わからないのだ。周りにいる人たちと、自分の差がなんなのか、わからない。


幼かった頃、私は死にたいって泣いたことなんて、なかったのに。


──どうして私はいじめられなきゃいけなかったの?



「……っ……」



悔しくて涙があふれる。ぐっと拳でしずくたちを強く拭うと、考えてしまう頭を振り切ってベランダを仕切る鉄格子の上によじ登る。


その鉄格子にうまく座って、景色を見下ろした。ゾクゾクと、恐怖が背中を這いずり回る。


瞼を閉じて、深く息を吸って、吐いた。


今でも死ぬことは恐ろしい。ここから飛び降りたら、地面に身体を打ちつけて、きっと痛いどころの騒ぎじゃない。確実に死ぬだろう。


それに、自分を愛して生んでくれた両親への申し訳なさがようやくつけた決心を簡単に揺らがせる。


もらった命を大事にできなくて、ごめんなさい。弱い娘で、ごめんなさい。いじめに負けて、ごめんなさい。


だけど、私はもう限界なんだ。


学校に行きたくない。いじめられたくない。殴られたくない。きつい言葉をかけられたくない。無視されたくない。笑われたくない。傷つけられたくない。


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