キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


だって私は本当に感謝しているから。


だから、明日も明後日も特別な日になる。
明日も明後日も、隼人くんと会えるだけで、それだけで、私は幸せを感じることができる。そんな魔法にかかっている。自覚している。


そうじゃなきゃ、あんなに死にたかったのに、生きたいだなんて、思えないもの。
これは間違いなく隼人くんのお陰だ。



「明日も明後日も、手品見せてくれる?」

「もちろんだよ」



そう言ってくれると予想していた。
肩をすくめて笑うと、隼人くんも穏やかに笑ってくれた。
心が癒されていく感覚がするの。過ぎていく一秒ごとに、少しずつ。


私、もう何度笑顔にしてもらったんだろう?

たったの二日で。

死にたいと願い続けた日々を、たったの二日で変えてしまった。


ふとそのとき、朝のホームルームが終わるチャイムが鳴る。あっという間だった。もう少し、ここにいたかった気がしなくも……ない。



「そろそろ教室行くか」

「うんっ」



立ち上がった。地面にくっついていたスカートのお尻の部分を手ではらう。
隼人くんは、背が高い。昨日よりも今日、彼を近くで見て、実感する。


美樹ちゃんは背が低いから、なおさらそう感じるのかもしれない。



「あ……」



教室に向かおうと一歩を踏み出した瞬間、とあることを思い出した。
それは、理香子ちゃんに会うことの気まずさだった。


足がすくむ。歓迎されないことへの恐怖。私への違和感を覚えた彼女の洞察眼は侮れない。私が美樹ちゃんじゃないことは、べつに、秘密にしていたいわけじゃない。だけど、軽々しく誰にでも話していいことだとも思えないのも確かだ。


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