烏丸陽佑のユウウツ


「ぼちぼち帰った方がいい。深く悩むなよ?
何でも、なるようにしかならない。世の中そんなもんだ。
どうなるか解らないモノに杞憂ばかりしても仕方ないものだ」

「…はい」

「ん。気をつけて帰れよ」

「はい、また来ます」

「そう連日入り浸るなよ?好きになったらどうするんだ」

はい、と、支払いを済ませたカードを手渡した。

「あ、ハハ。そうですね。優しくされると男は弱いですからね」

受け取ると財布に戻し、内ポケットにしまった。

…性別問わずだな。…フ。

「そうだ」

「じゃあ、おやすみなさい」

「…ああ、おやすみ」


…そのままでいいんだよ。周りの人間がコントロールしてはいけない。
それに、知らないだけで、とうに見つけて見てるかも知れないじゃないか。

梨薫ちゃんだって、いつも、いつまでも、弱い訳じゃないさ。
お兄さんの事は、自分なりに乗り越える術を見つけたかも知れないじゃないか。

基本、人間は一人なんだ。だから、自分の気持ちに寄り添って欲しい時以外は、人を欲しない。都合がいいモノなんだ。
どうにもならない程辛いなら、誰かに側に居て欲しくて求めるだろ。

冷たい考え方かな。
何でもかんでも人、人に頼るのも…。甘えられるのも悪くはないモノだが、強くあって欲しいとも思う。成長の為にな。

結果、可愛くないなんて言われるかも知れないが。
何も知らない、一人では何も出来ない、それでいい、そんな風になって欲しくない。

理想を求め過ぎか…。
依存しない自立した人がいいよな…。

どうやら俺は、強い、意地を張るくらいの人が好きなのかも知れないな…。
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