艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
ピローン。

席を立ちあがって歩き出した駒宮室長を慌てて追いかけようとした時、私のスマホがメールの着信を知らせる。


『駒宮室長とは、どうですか?』


メールの相手は、郁ちゃん。

きっと休憩時間なのだろう。


午前中に見た郁ちゃんの駒宮室長を見つめて恋する乙女の横顔を思い出すと、さっきまでうるさい程に暴れていた心臓が一気に静まっていく。

駒宮室長の背中が視界に入ってきて、私はなんだか郁ちゃんに後ろめたさを感じてしまう。


今日の駒宮室長と2人きりでいることだけじゃない。

手を繋いだことや、それから、ついさっきの駒宮室長の悪い冗談のことも。


思い返すと鮮明に思い返されて、胸がチクリと痛んでしまう。

『企画の参考にとAqualiftでショップ巡りしてるよ。駒宮室長はいつもの通り、不愛想。だけど、悪い冗談を言うこともあるみたい。』


嘘じゃない。
嘘なんかついていない。

ただ、嘘は書いていないのだけど、なんだか悪いことしている気がしてドキドキしてしまう。


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