艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「えっ、あぁ!!ハイ!ありがとうございました」


一気に現実に戻った私に、目の前の彼は一瞬、口元を少しだけ綻ばせる。

切れ長の涼し気な目元を細め、クールな印象を与えている整った顔立ちを少しだけくずして見せた。


その笑顔で、私は一瞬で吸い込まれてしまう。

呼吸の仕方を忘れてしまうほどの息苦しさを覚えて、自分の中でスマホアプリのジョナサンを想う気持ち以上の何かが決壊したダムのように一気にあふれ出してくる。


きっとこれが『恋』というもので、私が彼に一目ぼれしたのだと気が付いたのはそれからしばらく時間がかかったのだけれど、私の心の中に突風のようにして入り込んできた彼の存在は私の胸をかき乱した。


「じゃ、お疲れ」

彼は少しだけ崩した表情をすぐに引き締めると、それだけを言い残して、足早にフロアに歩いて行ってしまった。


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