艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「佐々田、そこの段ボールあっちに運んで」

新規事業開発室に戻るなり、駒宮室長はすかさず指示を出す。

「考え事せずに、身体動かせ。」

いえいえ、考え事なんてする暇ありませんよ。

駒宮室長、あなたが私をこき使うから。


本当に、こんなに人使いが荒い人に会うことなんて初めてに近い。



だけど、さっきまで新しい仕事に不安でいっぱいだったというのに、そんな不安を考える暇すら与えられないっていうことだけは良かったのかもしれない。

そんな思いが、ほんの一瞬頭を掠める。


部屋の中央では、男性陣で新しいシルバーラックを組み立てて、書類を片付けている。

その輪の中の中心にいる駒宮室長は、黙々と作業をしていて不愛想な表情を崩さないでいる。

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