番犬男子
「つーか、妹とか、家族を装うやつはいなかったから安心しろ」
「いたら、あんなに驚かなかったわよね」
遊馬と雪乃という男子の言葉に、心にたまっていた黒い感情が蒸発されていく。
なーんだ。
取り乱して損した。
偽妹を名乗る愚か者はいないんだ。
よかったよかった。
そういえば、そうだよね。
昨日、あたしがお兄ちゃんに抱きついた時、みんなこれでもかってくらい驚いていた。
少し考えれば、わかることだった。
お兄ちゃんのことになると我を忘れることがあるよね、あたしって。
「私たちとお近づきになりたくて、誰かの彼女だって嘘をつく女の子が結構いたのよ」
双雷って何気にイケメンぞろいだもんね。
女子たちが目の色を変えて狙うのもわかる。