番犬男子
1分1秒、無駄にはできない。
「じゃっ、そういうことで!」
改めて一方的に、一時の別れを告げて、公園を出た。
人気の少ない道をたどり、たまり場を目指す。
遠くで、バイクのエンジン音が轟く。
みんなも移動を始めたらしい。
あたしも急がなくちゃ。
お兄ちゃんとの時間が減っちゃう。
走ろうか。
いや、でも、気分的に今日はもう走りたくない。
なら妥協案で、早足にしてみよう。
頭に入っている地図を参考に計算して出した最短距離を、できるだけ速いスピードで進んでいく。