番犬男子
それから30分ほど経った頃。
幸汰が淹れてくれたハーブティーは、すっかり飲み干してしまった。
「……ふーん。じゃあ、雪乃が白薔薇学園の生徒だってバレても、なんとかなるってこと?」
「学校では一応品行方正な生徒だからね。たとえ疑われても、否定したら私を信じてくれると思うわ」
気づけば、会話の話題は「白薔薇学園の生徒が不良と親しいとバレたらどうするか」になっていた。
「今偽ってるなら、とことん偽り続けるつもりよ」
それが、雪乃が出した答え。
本当の姿を見せるのも、偽り続けるのも、どちらも勇気と覚悟がいる。
恐れを糧に決意した雪乃は、とてもかっこよかった。
そんな会話をしているうちに、幹部室にまで聞こえてくるくらい、1階が騒がしくなってきた。
下っ端たちがだんだんとパトロールから戻ってきているのだ。
お兄ちゃんも、そろそろ戻ってくるかな。