番犬男子
あたしは、お兄ちゃんに見惚れながら、駆け足で階段を下りていった。
階段を下りて、お兄ちゃんのところに一直線。
「お兄ちゃんんんんっ!」
「げ」
満面の笑顔でお兄ちゃんに抱きつこうとしたら。
その直前で、あたしの前頭を片手で止められてしまった。
うぅ、ひどい。
「抱きつこうとすんじゃねぇ」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「そういう問題じゃねぇよ」
頭を押さえる手の力が、グッと強まる。
痛い、痛い!
「反省したか?」
「……な、仲良くなるスキンシップじゃんか」
唇を尖らせるあたしに、お兄ちゃんはため息を吐いた。