番犬男子




それは、お兄ちゃんの妹だから?


そう尋ねようとした唇が、ゆるり、ほころぶ。



愚問だね。

妹とか、関係ない。


みんながあたしのことを仲間だと、心から認めてくれているからだよね。




「千果さん!」


「間に合ってよかったわ」


「なんで俺まで……」


「全力疾走してたくせによく言うぜ」



ダルそうな稜をからかう遊馬を放って、ホッと息をつく幸汰と雪乃。


その後ろには、ヘルメットをかぶりっぱなしだったり、汗をにじませていたりしている、双雷の下っ端がいた。



急いで来てくれたの?


胸の奥が、じわりじわりとあったかくなる。



「見送りに来てくれてありがとう」




< 566 / 613 >

この作品をシェア

pagetop