番犬男子
それは、お兄ちゃんの妹だから?
そう尋ねようとした唇が、ゆるり、ほころぶ。
愚問だね。
妹とか、関係ない。
みんながあたしのことを仲間だと、心から認めてくれているからだよね。
「千果さん!」
「間に合ってよかったわ」
「なんで俺まで……」
「全力疾走してたくせによく言うぜ」
ダルそうな稜をからかう遊馬を放って、ホッと息をつく幸汰と雪乃。
その後ろには、ヘルメットをかぶりっぱなしだったり、汗をにじませていたりしている、双雷の下っ端がいた。
急いで来てくれたの?
胸の奥が、じわりじわりとあったかくなる。
「見送りに来てくれてありがとう」