「豪くん…」

ひかるの目から涙がこぼれ落ちた。

「私も、豪くんに会えて嬉しい…」

ひかるはそう言うと、豪を強く抱きしめた。

「もう私の前からいなくならないでね…」

そう言ったひかるに、
「うん、約束するよ」

豪は首を縦に振ってうなずいた。

「もう離れないから…」

そう言った豪に、
「私も離れないから…」

ひかるは言い返した。

お互いの顔を見つめあうと、一緒に微笑みあった。

――もう2度と、この手を離さない

ひかると豪は心の底からそう誓ったのだった。

そっと、豪の大きな手がひかるの頬に添えられた。

端正な彼のその顔が近づいてきた瞬間、ひかるは目を閉じた。

重なったその唇に、ひかるの頬を涙が伝った。
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