その男は、とても怪しかった。

キョロキョロと首を動かして辺りを見回したかと思ったら、目の前に並んでいるおにぎりを見つめている。

何だかおかしな行動だ。

(もしかしたら、万引き?)

ひかるは思った。

レジの方に視線を向けるけれど、店員は気づいていないようだった。

まだ手は出していないはずだ。

止めてあげようと思いながら、ひかるは男の方に歩み寄った。

「あのー…」

ひかるが声をかけると、男が驚いたと言うように顔を見た。

「えっ…?」

その男の顔を見たひかるは驚いた。

すっかり成長を遂げてしまったが、面影はあの頃と一緒だった。

(ウソでしょ…?)

ひかるは自分でも信じられなかった。

震えている唇を開くと、
「――豪くん、だよね…?」

ひかるは、自分が思っていたことを口に出した。
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