タンスやクローゼットからいくつか服を取り出して、ああでもないこうでもないと言いながら悩んだ末に、白のシャツとグレーのベスト、ブルーのスキニージーンズを選んだ。

少し地味なような気はするが、どうせ園内を歩くのだ。

これくらい動きやすい方がいいだろう。

そう判断すると、ひかるは選んだそれらを身につけた。

そのうえからスプリングコートを羽織り、カバンに忘れ物がないかの確認をした。

「スマホよーし、財布よーし、折り畳み傘よーし!」

壁の時計に視線を向けると、後少しで10時になろうとしていた。

玄関に足を向かわせてスニーカーを履くと、家を出た。

鍵を閉めてドアが閉まっているかのどうかの確認をしていたら、
「おはようございます、ひかるさん」

声をかけられたので視線を向けると、伊崎だった。
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