6・岐れ道
 * * *

ひかると出会ったのは、今から4年前の冬の日だった。

取引先との仕事が思ったよりも早く終わったため、時間つぶしでブラブラと歩いていたらその店を見つけた。

「…『ミザリー』って言うのか?」

何となく気になったため、伊崎はそこに入ってみようと思った。

ガラス戸を開けると、そこは差し込んでいる太陽に照らされてキラキラと輝いていた。

輝いているのはガラスの置き物だったり、アクセサリーだったり、サンキャッチャーだったりとさまざまである。

まるで光り輝いているその世界に迷い込んでしまったみたいだと、伊崎は思った。

伊崎は店内に足を踏み入れると、周りを見回した。

「キレイだな…」

そう呟いた伊崎だったが、ここにいるのは自分だけだと言うことに気づいた。
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