「そうなんですか…。

1人でお店を経営するのって、大変じゃないですか?」

そう聞いた伊崎に、
「そんなことありません」

それは明るく、彼女ははっきりと答えた。

「こうして好きなものに囲まれて、好きなことができて、とても楽しいです。

会社に勤めていた頃よりも健康的な生活をしているなって、自分でも思います。

自分で作った作品はネットオークションに出して稼いだりしていますし、特に苦しいと思ったことは1度もないです」

笑顔でそう答えた彼女に、伊崎は自分が恋に落ちたのを感じた。

(素敵な人だな)

伊崎は思った。

「あの…もしよろしかったらですけど、あなたの名前を教えてもらってもいいでしょうか?」

伊崎は彼女に聞いた。
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