友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~

のぞみがじっとこちらを見つめる。
それから琢磨に向かって歩き出した。

琢磨も歩く。


区役所の玄関の前で、また二人は再び会った。

のぞみは優しく笑う。

「何、泣いてんの」
「うるせ」

琢磨は目をこすり、笑う。

「ずっと好きだったよ」

のぞみの瞳にも涙が溢れて、頬を流れた。

「わたしも」


琢磨はのぞみを抱き寄せた。


腕の中で「まったく、面倒くさい男だなあ」と涙ながらにのぞみが愚痴る。


「バツイチになっちゃったじゃん。今行ったら、離婚届返してくれるかな」
「無理だろ。第一恥ずかしいし」
「すぐ無理って、言うー」
「賢く生きてんの」
琢磨は笑った。


なんの後ろめたさも、罪悪も、何もなく、ただ純粋に彼女を抱きしめる。
それは例えようもない幸福感。


きっと人はこれを「愛」と呼ぶのだ。



《完》
< 120 / 120 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:186

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ヒロインの条件

総文字数/116,811

恋愛(オフィスラブ)197ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
2018年7月16日 完結 よかった、夏休み前に終わって。 ----- 野中 花(24歳) 『ブライトテクノロジー』の新入社員。柔道有段者で少女漫画が大好き。 佐伯 日向(27歳) 天才プログラマーだけれど実は『ブライトテクノロジー』のトップ。 ----- ずっと柔道ばかりしていたので、恋愛というものは漫画の中だけだった私。 大学で柔道をやめたのを機に、素敵な恋愛を夢見て『ブライトテクノロジー』に入社したけれど、やっぱり自分はヒロインというよりも頼られるヒーローという感じは変わらない。 でもがっかりしていたら、突然謎の男性、佐伯日向から告白されてしまった。 なんと彼は勤めている会社のトップで、なおかつ私は昔会ったことがあるという。 私はヒロインになれるのかな?
クールな社長の甘く危険な独占愛
  • 書籍化作品
[原題]キス・ゲーム

総文字数/108,239

恋愛(オフィスラブ)204ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
2018年2月9日。 書籍化に伴い、試し読み設定とさせていただいております。 ------ 「キスしたくなったら、負けだから」 映像制作会社の秘書室に勤務する《長尾さつき(28歳)》 「氷の王様」と揶揄されるほど、冷徹無比な社長《桐田和茂(30歳)》 彼の一挙一動に震え上がる毎日のさつきだったが、ある日本当の彼を見てしまい……。 2016.1.11 スタート 2016.9.15 完結 終わった……。よかった終えられて。 どうしてもわたしが照れてしまうたちなので、読者をドキドキさせられる作品にできたのか、心配なところですが。 途中随分放置してしまって、すみませんでした。 おつきあいいただきまして、本当にありがとうございました。 ------ 感想をくださった ちょこ15さま 玉宮 奏 さま 紗英❁ さま レビューをくださった usamoさま 聖凪砂さま 本当にありがとうございました。
その件は結婚してからでもいいでしょうか

総文字数/91,908

恋愛(ラブコメ)167ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
終わった! 2017.11.20 ---- 今回は、飛ばしていきます。 好きに書きます! ---- 大人気少女漫画家「桜よりこ先生」のアシスタントをしている 及川美穂子(26) 三次元の男には興味なし。 恋するのはいつも少女漫画の中の男性。 だってかっこいいもの。 毛穴ないもの。 臭わないもの。 今恋をしているのは、桜先生の作品に出てくる「中島悠馬(なかじまゆうま)」くん。 「こんな素敵な恋愛漫画を描いてる桜先生は、きっと綺麗な女性なんだろうな」 でも桜先生を、美穂子は見たことがなかった。 そもそも、誰も「桜先生」を見たことがない。 でもある日、美穂子は桜先生の秘密を知ってしまった。 描いてるのは……三次元の男?!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop