友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~

こみ上げる涙。
もうこらえることもできなくなっていた。

「のぞみ」

琢磨が手を伸ばしてのぞみの腕に触れた。

「放っといてよ!」

のぞみは激しくはねつけたが、すぐに琢磨が力強く腕を抑える。

「離して!」

暴れて抵抗した。

「のぞみ」
「うるさいっ」

腕を振り上げてもう一度殴ろうとした瞬間、手首を掴まれる。
激しく背中を壁に打ちつけた。

顎を大きな手で掴まれる。

気づくと唇が塞がれていた。
強引に割り入るようなキス。

のぞみの腕から、一瞬で力が抜けた。

掴まれていた手首が解放され、だらんと下に降ろされる。

琢磨は、両手でのぞみのほほを挟み、強引なキスを続ける。

膝に力が入らない。
心臓は激しく暴れまわって、死にそうだ。

琢磨が唇を離したので、のぞみは最後の力を振り絞って、腕の中から逃げようとした。
けれど再び手首を握られ、引き戻される。

「やめて……こんなの、戻れなくなる」
のぞみは涙ながらに訴えた。
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