永く青い季節 〜十年愛〜



「持ち込み機材あったから、俺、車なんだ。一緒に乗ってく?」

「あれ?お酒飲んでなかったの?」
       
「うん。ノンアルでごまかしてた。ま、どっちにしてもたいして強くはないんだけどね」

「そうなのね?じゃ、お言葉に甘えちゃおうかな」



山口さんに勝手に気を遣われ二人にされて、昔を思い出して笑ってはみたものの、あの頃とは状況が違う。

恋人が居る彼と、こんな遅い時間から店を変えて飲み直す…という訳にもいかないし、どうしたものか…と考えていた。

少しホッとしながらそう答えると、彼と一緒に地下駐車場までのスロープを歩く。
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