永く青い季節 〜十年愛〜



一週間が過ぎ、社用で私の元を訪れた彼に、私は努めて明るく接するよう心掛けた。

「この前のお祝いの話、近いうちにどうですか?」


車で送って貰ったあの夜の事を、彼は気にしているに違いない。
彼の心に少しでも負担をかけたくない。


けれど、彼と会ってお祝いなどと…
心にもないことを平然とできる自信など、本当はどこにもなかった。




どうして、こんな事になっちゃったんだろう…



会いたくてたまらなかったあの頃、
離れていて、会うのもままならなかった。

会わない方がいい、会ってはいけない今、必然的に会わなければならない状況になってしまった…



神様は意地悪だ。
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