永く青い季節 〜十年愛〜


「はい、お付き合いしてました。
でも、もう昔のことです」


「やっぱりそうなのね…。これで全部繋がった…。
前に話したよね…藤元くんの彼女の高野千春、私の同期だって。

でもね、付き合ってると言っても、彼女の方が夢中だったのよね。
千春の積極的なアプローチに、藤元くんは、“ 忘れられない人がいる ”って話してたらしいわ。
高校の後輩だって。それって槙野さんのことなんじゃないの?」 


私は困惑して返事ができず、西田さんから目を逸して俯いた。



「もう一昨年になるのかな…
東京で大きな交差点の舗道に、暴走車が突っ込んだ事故あったの…覚えてる?
その辺りには待ち合わせスポットがあって、多くの重軽傷者が出た無差別殺人未遂事件」

「…はい、覚えてます」


どうして唐突にそんな話を…。
私は西田さんが何を言いたいのか想像ができず、彼女の顔をただ見ている。
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