永く青い季節 〜十年愛〜
思いも寄らなかった西田さんの話に、私は動揺を隠せない。
「千春は私の友人だから、勿論幸せになって欲しいわ。
でも私にとっては、槙野さんも大切な妹のような存在なの。
だから、辛い想いをして欲しくない」
胸の中で暴れ出し、溢れ出しそうな感情を、私は拳を握り締めて堪えた。
例えそんな事情があったとは言え、彼が責任感や同情だけで彼女に寄り添う決断をする筈はない。
もし彼女に対して愛がないのなら、あの夜、彼が私の元から立ち去ることはなかっただろう…。