永く青い季節 〜十年愛〜




大きな掛け声が飛び交い、シューズが床を鳴らすキュッキュッという音。
ボールがバウンドする音…。

いつものように活気溢れる体育館の中、隣のコートにもう彼の姿はない。



無理矢理にでも動き回っていないと、体中から涙が湧いて来そうで、私は自分を虐めるように練習に励んだ。



「美織…オンとオフ、激し過ぎ。無理し過ぎだよ。大丈夫?泣きたかったら泣いていいよ」

部活の帰り道、魂が抜けたように歩く私に、梨絵が言った。



夏の終わりの日はまだ長い。
地平線に落ちそうになっても尚、一生懸命に光を地上に放つ太陽…
まだ大丈夫…
まだ笑っていられる、と…。
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