女性たちに告ぐ
患者の思い出6

三カ月間入院した。退院一カ月前に、新入りの看護師が来た。あまり出会っていない。一年後、再入院した。

その看護師は、自分のことを覚えていた。看護師とは、一人一人の患者の顔を、意外と覚えているものなのか。チョッと、不思議…。

再入院したとき、入院患者は情けないが、病棟に懐かしさを覚えている。しかし、看護師たちは、入院患者本人へのなつかしさより、業務を優先している。

当然だ。再入院患者への懐かしさなど、一々かまっていられない。つまらん。病院に思い出を抱いているのは、入院患者だけのようだ。

看護師には、患者の過去の思い出など必要ないようだ。思い出に、浸っている余裕などない。「今」が重要なのだ。


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