【完】こちら王宮学園生徒会執行部
時計を見やれば、時刻は6時前。
わたしが6時の時点で起きなかったら、起こしてくれるつもりだったらしい。
「昨日、寝るの遅かっただろ。
……身体、つらくないか?」
「……大丈夫です」
「なんで敬語なんだよ」
くすくすと彼は笑みをこぼしているけれど。
いや、敬語にもなるでしょ。しれっと聞いてくるんだから敬語にもなるでしょ。
何か言われたわけではないのに、昨夜の燻るような熱を絡ませた濃密な時間を思い出して困る。
本当にただわたしを気遣ってくれただけだと思うけど。
「顔洗ったら、ご飯つくるわね」
気恥ずかしさを隠すようにそれだけ告げて、ブレザーをダイニングチェアの背もたれにかける。
スマホをテーブルに置いてから、一度洗面所に引き返した。
いつみ先輩と付き合って、5ヶ月。
一緒に暮らし始めて、3ヶ月。
彼は大学生になって、わたしは進級した。
「和食か洋食、どっちがいい?」
歯を磨いて顔を洗うと、リビングにもどる。
ふたりで住むにしても充分余裕のあるマンション。
キッチンの入口にかけてあるエプロンの紐を腰の上で結びながら問えば、一瞬悩んでから「なら和食」と返事が返ってきた。
……和食か。白米、は、炊いてあるし。
野菜は、朝食用に冷凍保存してある作り置きのおかずから何か使うとして。
あとはお味噌汁とお魚と卵焼き、かな。