【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「あ、えっと……わたしが呼んだの。

いつみ先輩もいるし、夕帆先輩もどうかなって」



「まあいつみは今出掛けてていないけどな。

あと1時間ぐらいで帰ってくるんじゃね?」



「……ならいつみ帰ってくるまで来なくて良いじゃん」



心底嫌そうな顔をしている夕陽。

その隣で、用意しておいたグラスに早速ジュースを分けてくれている椛とそれを手伝う呉羽。



どちらも男兄弟だけど、全然タイプが違う。

まあ、なんだかんだ夕帆先輩は夕陽を気にかけているし、夕陽だって「兄貴」って呼んでるからには何かと慕っているんだろうけど。



「まあまあ、適当に座ってて。

ケーキあとで食べるでしょう?冷やしてくるわね」



ストッパーになるいつみ先輩がいないうちに喧嘩されても困るから、ゆるくなだめる。

それからキッチンに足を踏み入れ、リビングを振り返れば。




なんだかんだみんな楽しそうで、思わず頬がゆるんだ。

とんでもなく賑やか。眩しいくらいに。



「案外普通の家じゃねーか」



「この本棚、

南々先輩の一人暮らしの家にありましたよね?」



「南々ちゃんの選んでる小物が可愛すぎねえから、意外といっちゃんがここに住んでんの違和感ねえよな〜。

休みの日一緒に何して過ごしてんの〜?」



冷蔵庫にケーキをおさめてリビングにもどると、オレンジジュースの入ったグラスを渡しながら問いかけてくる椛。

お礼を言って受け取り、空いていたソファに腰を下ろした。



「特に何もしてないわよ?

たまに映画観たりのんびり話してることはあるけど、わたしは家事と生徒会の仕事と課題があるし、」



先輩だって、家の仕事に加えてレポートがある。

大学生になっても試験はあるし、ふたり一緒にいるからといって四六時中くっついていられるわけじゃない。



< 31 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop