【完】こちら王宮学園生徒会執行部



きっとわたしの考えすぎだ。

いつみ先輩はわたしのことを大事にしてくれているし、彼は幼い頃に交わした約束を絶対に守ってくれる。守れない約束なんて、しない。



「夕帆先輩は一緒にやらないんですか?」



「いいよ、一応歓迎会なんだろ?

いつみもいねえし、俺はここで見てるから」



そう言って傍観に徹する夕帆先輩を見ていたら、なんだか不思議な気分になった。

何も変わっていないように、見えるけれど。



「じゃあ、はじめんぞー」



夕帆先輩だって、大人に近づいてる。

それは何も彼に限ったことじゃなくて、きっと、いつみ先輩だってそうで。



なんだか喉の奥が熱くなった。




「何からやるの?」



だけどそれに気づかないふりをして、この場になんとか馴染もうと声を上げる。

返ってきたのは「ババ抜き」という一言で。



「普通すぎてつまんないよね」



「……夕陽、あんまり余計なこと言わないほうが良いと思うわよ。

ふふ、演技力が試せる場じゃないの」



「……なんで俺いまここにいるんだろう」



「生徒会役員になったからでしょ?」



『OQ』が刻まれたシルバーの王冠バッジ。

指名した時は嫌そうだったものの、なんだかんだ彼はこの場に馴染んでいると思う。……本人は未だに不服かもしれないけど。



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