【完】こちら王宮学園生徒会執行部
会計補佐は特進科1年、麻生呉羽。
書記は芸能科1年、女王夕陽。
なにを隠そう、それぞれ夕帆先輩と椛の弟だ。
正直、こんなにも私情を挟んだメンツで揃えてもいいのかな、という不安もあったのだけれど。
その選出したメンバーで上手く生徒会の仕事が回ると思うならそれでいいよ、と。
理事長は穏やかに微笑んで、生徒会役員の署名がされた書類に判子を押した。
「……まあいい。
土曜は歓迎会として、日曜は空いてるのか?」
「うん、空いてる」
「なら日曜か。
俺の親が、お前に会いたいらしくてな」
えっ、とおどろきが喉の奥でつぶれる。
そのせいで声にはならなかったけれど、わたしの表情はおそらく驚きに満ちていたはずだ。
なにその唐突なお誘い……!
「嫌なら適当に理由つけて断るぞ」
「え、いや、べつに嫌ってわけじゃ」
わたしの両親は元々珠王で働いている研究者だし、話を聞く限りお互いの両親同士は知り合いだ。
けれどわたしは、いつみ先輩のご両親にお会いしたことはない。
……いや。
正式には、"あの"セレモニーのときにお見掛けくらいはしているのだろうけど、なんせかなり昔の話。しかもわたしの記憶は完全じゃないときた。
彼がくれたあの頃のプロポーズのことや青いバラの話は思い出したけれど、まだ曖昧な部分も多い。
とはいえ生活には何の支障もないから、いいんだけど。
「……そのお誘いって、」