お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
「そりゃあんたの目が後ろに付いてるからだろ」


あーそうですよね。
貴方ならそう言うと思ってました。


藤田外科病院の診察室で診察台の上に寝転んだまま思った。


「俺はここまで時間外労働させる患者を見たことがないぞ!」


呆れながらキレるドクターの言葉を止めることも出来ずに受け流す。


「私だって好きで来てる訳じゃ……」


「当たり前だろーが!」


「ひぃっ!」


「こんなこと好きでされてたら困る!」


「は、はいっ!」


ホントにすみません。て言うか何もそこまで怒鳴らなくても。


「全く女のくせに体に傷ばっか作って」


(ん?)


「あんたマゾなのか?」


「とんでもないっ!」


「だったらどうして毎度…」


「それは単にツイてないだけです」


「ツキの無さだけで数日おきに傷を作れるか?マゾかドジかそうでなければ呪われてるかのどれかだろ!」


「誰に呪われてるって言うんですか!私は誰にも呪われてなんかいませんよ!」


多分。


「そんなの分かんねーだろ。人間生きてりゃ誰かの恨みぐらい買うさ」


(そりゃあんただけ!)


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