お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
胸の中でそう反論して押し黙る。
ドクターは治療の間もずっとネチネチと怒り、私はそれをイライラしながら聞いてた。


「ほら、左足はもういいから次は右」


またしても無遠慮にスカートを捲り荒っぽく包帯を解いてく。


「先生」


「何だ」


「もう少し優しくできないんですか?」


「はあ?」


「これでも私、年頃の女子ですよ!?遠慮もなくスカートを捲ったり荒っぽく包帯解くのもどうかと思うんですけど」


私が藤田くんの同級生って知ってるよね。
嫁入り前だって知っててその所業ってどうなの!?


「年とか性別とか気にしてたら医者なんてやれねーよ」


「それがお医者さんの言うセリフですか!?」


「だったらどうしろって言うんだ。時間外労働させられた上に患者に気を遣えって言うのか!?
あんたは俺に気を遣ってるか?へらっと笑って毎度すみませんって顔するだけで済ましてるだろうが!」


「そんな…心の底では申し訳ないと思ってますよ!」


それに今日は時間外と言ってもたった三十分だけじゃない。


「思ってるなら病院が開く前に来るな!」


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