気付けば、君の腕の中。


…やっぱり、俺に“友達”とか向いてないのかな。

そう思うと、脳裏に過ぎるのは絢華だった。


テーマパークで遊んでいたとき、絢華は俺と一ノ瀬のために、話しかけるタイミングを作ってくれた。


わざわざ五十嵐の隣に並んで、俺たちを二人にさせようとしてくれたのは分かる。

だけど…、何で俺は彼女の手を握り締めたり、一緒に観覧車に乗りたいなんて言ったのだろうか。


本当ならば一ノ瀬の手を握ればいいのに。



…分かってはいたけど、でも、絢華が五十嵐と一緒にいるのが凄く嫌だったのだ。



そこまで考えて辿り着いた「答え」に、俺は顔に熱が集まっていくのを感じた。


「…うそ、だよ。違う、そんなわけない」



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