気付けば、君の腕の中。
▼ Story 4

+ 温かい雨が降り出した



―それから春を迎えて、あたしたちは高校生になった。


奈々美のおかげでテストは赤点を取らずに済んだ。

この3ヶ月間、やはり凜くんと桃とは話しかけることが出来ず、曖昧な距離を保っている。


…月城も、一度も話しかけることが叶わなかった。



奈々美と一緒に双坂高校を目指して歩く。

新しい生活が始まるというのに、胸の奥に引っかかったわだかまりは消えなかった。



「絢華、考えても無駄よ。結局は時間が解決してくれるんだし、うちがいるじゃない!」

「奈々美…、ありがとう」



あたしの手を引っ張ってくれる奈々美に感謝をして、あたしは不器用に笑って見せた。


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